カフェ難民に告ぐ。電源席を確率80%で確保する「行動と観察」の技術


  • これからの働き方
  • 検証
  • ノマド

リモートワークの普及で、都心のカフェにおける「電源席争奪戦」は年々激化しています。 「行ってみたら満席だった」「電源席だけ空いていない」という事態は、単なる不運ではなく、情報不足と戦略ミスです。

私は月30回以上カフェで執筆作業を行いますが、以下の「行動観察」を取り入れることで、電源確保率は劇的に向上しました。感覚ではなく確率で動くためのメソッドを公開します。

1. 「魔の15分」を狙い撃つ(タイミング)

カフェには明確な「総入れ替えタイム」が存在します。ここを狙わずして入店するのはギャンブルです。

  • 平日 11:45〜11:55: ランチ客が入る直前。午前中のノマドワーカーが撤収する一瞬の隙間です。
  • 平日 13:50〜14:00: ランチ客が会社に戻る時間帯。ここが最大の狙い目です。
  • 休日 10:30前後: モーニング客が帰り、ランチ客が来る前のエアポケット。

テクニック: 入店時、レジに並ぶ前にまず席エリアを一周してください。会計後に「席がありませんでした」となるタイムロスを防げます。

2. 電源配置の「構造的法則」を知る

店舗設計のセオリーとして、電源はランダムに配置されているわけではありません。施工コストが安い場所に集中します。

  1. 壁際ベンチシートの足元: 配線工事が最も容易なため、高確率で設置されています。ただし、隣との距離が近く会議には不向きです。
  2. 大テーブル(ビッグテーブル): 中央または縁に標準装備されていることが多い最強エリア。回転も早いです。
  3. 柱の周り: 構造柱には配線を通しやすいため、ここも狙い目です。

逆張り: 「窓際の眺めの良い席」は電源がないことが多いです(窓ガラス面には配線できないため)。電源狙いなら、眺望は捨てて壁や柱を目指してください。

3. 店員さんへの「解像度の高い」尋ね方

「空いてますか?」と聞くのはNGです。店員さんも困ります。

  • ×: 「電源席ありますか?」
  • : 「PC作業をしたいので、コンセントが使える席が空いたら案内していただけますか? 1名です」

もし満席でも、先にオーダーして「電源席が空くまで待ちます(あるいは別の席で待機し、移動の許可を得る)」という予約的な動きができる店もあります。この交渉ができるかどうかが勝負を分けます。

4. 電源がない時の「バックアップ電源」戦略

どんなに戦略を練っても、取れない時は取れません。その時、仕事を止めないための装備が「自前の発電所」化です。

  • モバイルバッテリーの選び方:

    • 出力: 最低でも45W、できれば65W対応を選んでください。スマホ用の20WではPCは充電できません(給電のみで減り続ける)。
    • 容量: 20,000mAhあれば、MacBook Airを約1回フル充電できます。これで+3時間は戦えます。
  • 安価なカフェ+バッテリー: 高単価な「コワーキングカフェ」を探し回るより、ドトールやマクドナルドの「電源なし席」に座り、自前のバッテリーで作業する方が、トータルコストも時間も節約できるケースが多いです。

5. 居住性を高める「マイクロ環境構築」

無事席を確保できても、環境が悪ければ生産性は落ちます。

  • 日差しのハレーション: 画面が見えなくなる一番の敵。入店時に太陽の位置を確認し、カーテンのある席か、日陰を選びます。
  • 空調直撃: 夏場の冷房直撃席は30分で体が冷え切ります。上を見て吹き出し口の位置を確認してから座りましょう。
  • ノイズキャンセリング: 周囲の会話をカットするため、耳栓かノイキャンイヤホンは必須装備です。

6. 長居の流儀(Good Loserであれ)

店側にとって「長居する客」はコストです。歓迎される客でいるためのマナーが、回り回って自分の居場所を守ります。

  • 90分ルール: 90分経過したら追加オーダーをするか、退店する。
  • 混雑時の撤退: 入口に行列ができ始めたら、キリの良いところで席を譲る。
  • 綺麗に使う: 消しゴムのカスや水滴は、自分のハンカチで拭いてから立つ。

まとめ

電源席確保は「運」ではなく、情報の非対称性を利用した「ゲーム」です。 時間帯、導線、バックアップ装備。この3つを揃えておけば、街中のどこにいても「自分のオフィス」を開設できます。

次は、あなたの街の「穴場チェーン」を見つけてみてください。意外なところに、ガラガラの電源パラダイスがあるかもしれません。