家の電気が消えたら? ブレーカー落ちの「最初の10分」復旧マニュアル


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突然「バチン」という音と共に部屋が真っ暗になる。 停電は誰にとってもストレスですが、実は分電盤を見るだけで「使いすぎ」か「故障(漏電)」か「地域停電」かは一発で分かります。

このマニュアルは、電気の知識がない人でも安全に、かつ最短(10分以内)で電気を復旧させるための手順書です。スマホのライトを点けたら、まずは分電盤の前へ移動してください。

ステップ0: 3つのスイッチを知る(1分)

分電盤には通常、3種類のスイッチがあります。どれが落ちている(下がっている)かで対応が全く異なります。

  1. アンペアブレーカー(左端・大)
    • 役割: 家全体の使いすぎを監視。
    • 落ちた理由: 電気の使いすぎ。
  2. 漏電遮断器(中央・中)
    • 役割: 漏電(電気が漏れている)を検知。
    • 落ちた理由: 危険信号。どこかの機械やコードが壊れている。
  3. 安全ブレーカー(右側・小多数)
    • 役割: 各部屋ごとの使いすぎを監視。
    • 落ちた理由: その部屋での使いすぎ、またはショート。

ケース1: 左端(アンペアブレーカー)が落ちている場合

原因: 単純な「使いすぎ」です。

  1. 家電を減らす: 直前に使っていた消費電力の大きい家電(ドライヤー、レンジ、暖房など)のスイッチを切ります。
  2. 上げる: 1分ほど待ってから、左端のブレーカーを上げます。
  3. 対策: 同時に使う家電を減らします。「レンジ中はドライヤーを止める」等のルールで解決します。

ケース2: 右側の小さいの(安全ブレーカー)が落ちている場合

原因: 特定の部屋での「局所的な使いすぎ」または「ショート」です。

  1. 特定: どの部屋のスイッチか確認します(「キッチン」「リビング」などと書いてあるはずです)。
  2. 解除: その部屋のコンセントから家電を抜きます。
  3. 上げる: 小さいブレーカーを上げます。すぐにまた落ちる場合は、繋いでいる家電のどれかが故障しています。

ケース3: 真ん中(漏電遮断器)が落ちている場合【重要】

原因: 家のどこかで漏電している可能性があります。慎重な対応が必要です。

復旧手順(5分)

  1. 全リセット: 全ての「小さいブレーカー」を**OFF(下げる)**にします。
  2. メインON: 真ん中の「漏電遮断器」と左端の「アンペアブレーカー」を**ON(上げる)**にします。(この時点では電気はつきません)
  3. ひとつずつON: 小さいブレーカーを左から順に1つずつ上げていきます。
  4. 犯人の特定: あるスイッチを上げた瞬間に「バチン!」と真ん中の漏電遮断器が落ちたら、その回路が犯人です。
  5. 封印: 犯人の回路(例: キッチン)だけOFFにしたまま、他の回路は上げます。これで「キッチン以外」の電気は復旧します。
  6. プロへ連絡: 漏電している箇所は素人では直せません。電気工事店や管理会社へ連絡してください。

ステップ4: 何も落ちていないのに電気が消えた

原因: 地域停電か、引き込み線のトラブル。

  1. 外を見る: 近所の家や街灯も消えていれば地域停電です。電力会社のHPで情報を確認し、復旧を待ちます。
  2. 我が家だけ: 契約アンペアブレーカーがスマートメーター化されている場合、一定時間後に自動復旧することがあります。10秒待ってみてください。それでも戻らなければ電力会社へ。

停電時にやってはいけない「NG行動」

  • アイロン・暖房の放置: 復旧した瞬間に加熱が始まり、火事になる恐れがあります。必ずコンセントを抜くかスイッチを切ってください。
  • PCの強制再起動の繰り返し: 瞬時停電を繰り返すとHDDが破損します。安定するまでコンセントを抜いておきましょう。
  • 冷蔵庫の開け閉め: 冷気はすぐに逃げます。停電中は開閉を最小限にすれば、3〜4時間は保冷できます。

予防:ブレーカーを落とさない「1500Wの法則」

一つのコンセント(回路)で使える上限は通常1500Wです。これを超えると安全ブレーカーが落ちます。

  • ドライヤー: 1200W
  • 電子レンジ: 1300W
  • 電気ケトル: 1300W
  • 炊飯器: 1000W(炊飯時)
  • 食洗機: 1000W(ヒーター時)

これら「熱を出す家電」は、組み合わせたら即アウトです。 「レンジとケトルは別々のコンセント(別の安全ブレーカーの回路)に差す」か「時間をずらす」のが鉄則です。


まとめ

電気が消えたら、まずは深呼吸。「左がおちたら減らすだけ、真ん中落ちたら手順を踏む」。 この合言葉だけ覚えておけば、冬の寒い夜に震えながら懐中電灯を探す時間は最小限で済みます。

このページをブクマするか、分電盤の近くにメモを貼っておくと、家族全員が「電気の守り人」になれますよ。